僕たちが育った幼少期や思春期に比べ、世の中は
確実に利便性が増し、SNSの発展によりそれまで
出会う確率の低かった人や、世界中の様々な民族
とも、簡単に交流できる時代になりました。
その分、これまで親の目の行き届く範囲のみ
注視しておけばよかった子供たちの交遊関係、
金銭管理は、もはや親の監視の範疇を超えて、
これからは子供が自ら危険を察知し、怪しい
情報を判別する時代がやってきています。
神奈川県座間市の凄惨な事件のように、人間の心の
弱さにつけこみ、生きる活力を一時的に失った人を
狙った犯罪は、残念ながら今後も起こりうる事だと
思います。
僕は自ら「死にたい」と思った事はありませんが、
これまで歩んだ人生において、気持ちが萎えた事、
自暴自棄になった事、諦めた事、誰にも相談せず
そっと競争から離脱した事など、様々な苦い体験
があって、今を生きています。
心が弱っている時は、生命力も著しく低下して、
自堕落な生活から体調を崩したり、不注意から
ミスを繰り返したり、ひどい時は怪我をしたり、
負の連鎖が止まらなくなるものです。
これは将来の話ですが、
僕は娘に対して、物事の善悪や分別を教えるだけ
ではなく、人間の根源とも云うべき「生命力」に
ついても、それとなく伝えていきたいと思います。
何気ない日常生活の中で、親が子に伝えなければ
ならない「やってはダメな事」や「気をつける事」
はたくさんあります。
そして、伝える際にはその理由と、その言いつけ
を守らなかった時に「どんな不幸な事が起きるか」
をあえて伝えたり見せたりして、可能な限り娘の
防衛本能を呼び覚ましてやりたいと思っています。
死への恐怖を知らしめることで、それが生きる事
への執着心に少しずつ変化して、自分の身は自分
で守る術を身につけるきっかけとなってくれれば
と、願ってやみません。
hidechichi