新年を迎えて半月が経ちました。
仕事であれば年始の挨拶まわりも一通り終わり、
ようやく平準化してくる頃ですが、同時にふと
疲れを感じたり、年明けのスタートダッシュの
勢いも、やや陰りが出てくる時期だと思います。
何年か前、取引先の賀詞交歓会の席で経営者の方へ
ご挨拶に伺った際、「仕事は、ほどほどにな…」と
声を掛けて頂いたことがありました。
その方は現場叩き上げのサラリーマン社長ですが、
役員に昇格前の部長時代に顔を覚えて頂いており、
過去には手厳しい叱責も頂戴したことがあります。
情熱も人一倍あり、頭の回転も抜群、経営者になる
べくしてなったような方ですが、そんな人から突如
頑張れ!とか努力しろ!という激励ではなく、その
反対に「ほどほどに」という言葉を頂いた時は正直
驚きが勝り、真意までは理解できませんでした。
今になって分かることですが、おそらくその方から
見た当時の僕は、やる気に満ち溢れ、全身に緊張感
をみなぎらせた状態に映ったんだと思います。
最近ようやく少しずつ会得してきたことですが、
人の一番良い状態というのは、頭も体も柔軟で、
変な力みもなく、かといって無気力でない時を
指すのだと悟りました。
この時期で云うならば、年が改まったから一念発起
して頑張ろうとするのではなく、日々の生活の中で
必然的に頑張るタイムを設けたり、少しずつ自然と
実行できるような体制を整えたり、とにかく焦らず
力まず、自然体で新年をスタートさせてみました。
すると不思議なことに、去年から持ち越していた
未解決の問題だったり、気にかけていた心配事に
対して、新たな解決の糸口が見つかったんです。
以前までの僕は、年末年始の長期休暇中であっても
どこか頭の片隅で仕事のことを考えていましたが、
今回は本当にキレイさっぱり仕事のことは忘れて、
ひたすらに家族行事や育児に没頭しました。
一度ふっと気持ちを楽にして、すっかりリセット
した状態からもう一度課題に向き合うと、今まで
見えていなかった角度で妙案が生まれ、思わぬ形
で解決策が下りてくる…
やはり人間、根詰めすぎて頭でっかちになったり、
緊張から体を強張らせたりすると、本来持っている
力の半分も出せないことがよく分かりました。
経営者の言葉「ほどほどに」とは、頭と体を常に
軟らかく保つためのアドバイスであって、それを
忘れることなく、仕事に取り組もうと思います。
hidechichi