サラリーマンで三十代の中盤に差し掛かると、
同期の中でも優秀な人は支店長に抜擢されたり
大なり小なり組織を束ねる管理職となるケース
が、一気に増えてくると思います。
以前、元トリンプの吉越さんの本のおかげで
僕自身の働き方改革が始まったことをご紹介
しましたが、その本の中でも現場を知らない
管理職ほど報連相(報告・連絡・相談)を求め、
無駄な会議を何時間も繰り返す…とあります。
一昔前の管理職といえば、机にデーンと座り
部下への数字の追い込みが主流で、現場には
まったく顔を出さない…。(夜の接待だけ参加)
こんな管理職が横行していましたよね。
ところが今は、
数字の悪い部下に向かって「なぜ悪いのか!」
と詰問している管理職では、時代遅れの烙印を
部下や周囲から押されてしまいます。
吉越さんの現場主義は、まず管理職自身が
徹底的に現場を知ること。その上で部下と
緊密に情報を共有して、最大最適の成果を
作り上げていく…。
僕はこの理論に凄く共感できました。
でもこの理論を実行に移すにはチーム
のみんなの協力が不可欠です。
部下の立場からすれば、上司が毎日現場に来ると
息がつまるとか、自分の裁量・ペースでノルマを
達成させたい等々、人によって千差万別です。
なので、
上司=報告書作りで忙しいからデスクにいたい。
部下=一緒だと疲れるのでデスクにいてほしい。
という、まったくもって生産性のない
奇妙な連帯感が生まれてしまいます。
※こんな組織は遅かれ早かれ消滅しますよね。
僕もある小さな組織のリーダーとして、ひとつの
プロジェクトを成功させ、それを事業化まで拡張
させる役割を任されましたが、そのチーム発足の
時期に、我が家では待望の娘が誕生したんです。
僕は吉越さんの「残業はしない」という理論に
陶酔していますので、チームのみんなにも当然
守ってもらうようお願いをしました。
僕自身、一刻も早く帰って育児をしなければ
なりませんし、里帰り出産をしなかった妻の
産後の看病もあって、残業などもってのほか。
家に帰ると、神経過敏となって荒ぶる妻に
あれこれ指示を受けるわけですが、どうも
上手くいかないんです。
オムツ交換も遅い、ベビー用品の使い方も曖昧、
妻が体調不良で休んでいると、何がどこにある
のか分からない等々、何の役にも立ちません。
この経験から「現場を知ること」がいかに重要で
自分が分かっていないことがどれだけ恥ずかしい
ことか、再確認できたわけです。
育児に「管理職」は必要ありません。
家を守ってくれている妻が必要とするのは、
現場を知り尽くした父親だと分かりました。
もちろん、ここでいう現場とは「育児」です。
この経験から自分を戒め、仕事にも生かして
成果を出すことが出来ましたし、何より妻の
僕に対する感謝の言葉が一番嬉しかったです。
hidechichi