とある後輩の話です。
後輩といっても仕事上、同業者でありライバル企業
に勤務する若手社員なんですが、彼は業界内でその
実力を高く評価されており、容姿端麗、性格も温厚
で、まさに非の打ち所のないサラリーマンです。
先日、業界の懇親パーティーに参加した帰り、
彼を含めた同業者数人で二次会へ。
情報交換を主目的とした会合でしたが、参加者が
全員既婚者だったこともあり、気がつけば話題は
家庭問題(妻への愚痴？)で盛り上がりました。
参加者の中では最年少で、尚且つ新婚さんだった
彼には、当然ながら質問が集中し、おじさん達の
執拗な「写真みせて」攻撃を巧みにかわしながら
その会合は大盛況ののち、解散となりました。
彼とは帰り道が一緒だったので、途中の電車では
会合内で話さなかった業界の事や、仕事の進め方
などを語り合いましたが、ふと彼のほうから突然、
家庭問題について相談を受けました。
彼は結婚して約１年、奥様は大学時代から交際
していた同級生らしく、こちらも誰もが認める
美人で頭脳明晰、秘書の仕事をされています。
会合中、写真を見た他の同業者から矢継ぎ早に質問
が飛ぶ中で、どこか寂しそうな表情を浮かべていた
のが気にはなっていたんですが、どうもその奥様と
夫婦関係が悪化しているようでした。
原因は、彼のご両親との関係悪化が主因のようで、
どうやら面会拒絶、音信不通の状態を奥様が望み、
ご両親からの郵便物なども、彼に無断で破棄したり
ひどい時にはメルカリなどで転売しているとの事。
最初のうちは問い詰めたり、非難したり、彼なりに
その行為を辞めさせようと色々努力したようですが
彼女は火がついたように怒り、離婚や裁判といった
言葉を連呼するようになってしまったようです。
僕も状況は異なるものの、妻のPMSを疑ったり、
妻自身が義母と関係が芳しくないこともあって、
色々と悩んだので、少しでも彼の慰めになれば
と思い、当時通院を検討した精神科など幾つか
紹介して別れました。
彼と別れた後、しばらく彼の普段の仕事ぶりや、
会合での立派な立ち振舞いを反芻して感じたのは、
人間誰もが「問題」を抱えながら日々、苦悶苦闘
しながらも懸命に生きているんだなという事です。
よく「あの人はお気楽だな」「悩みがなさそう」と
陰口を見聞しますが、けっしてそんな事はなくて、
それを他人に見せないだけなんだと思います。
別れ際、彼と連絡先を交換し、いつでも相談に乗る
旨を伝えましたが、おそらく彼からは連絡は来ない
と思います。
困った姿や忙しそうな素振りを見せない人は、
人知れず解決のために模索し、他人を頼らず、
自分で何とかする方法をいつも考えています。
彼もまさにそのタイプで、そのあたりが年長者
から一目置かれる理由のひとつでもあります。
彼とは今後も良きライバルとして、業界全体を
盛り上げるパートナーとしての関係でありたい
ですし、そんな彼が自分で家庭内の問題を解決
してくれることを切に願っています。
hidechichi
